NHKの福地茂雄会長は2日の一般紙会見で現況などにつき要旨次のように語った。
一、12日からはじまる「大相撲秋場所」の実況中継を実施することを決定した。大相撲中継をめぐっては、野球賭博問題をはじめ、日本相撲協会の不祥事が相次ぎ、NHKは名古屋場所を中継しないことを決め、相撲協会に再生に向けた改革を求めてきた。その後、相撲協会は「ガバナンスに関する委員会」を立ち上げ、暴力団関係者との交際禁止や暴力団対策の専門部署の設置などをまとめ、8月30日には「暴力団等排除宣言」を内外に表明した。この中では、暴力団関係者を本場所や部屋などに入れない、相撲協会との取引に関与させない、飲食・ゴルフなど一切の交際をしないことなどが打ち出され、違反した場合は解雇も含む厳正な措置を取ることが盛り込まれた。こうした一連の取り組みについて、NHKは、反社会的勢力との関係を何としても断ち切るという日本相撲協会の決意と改革への具体的な道筋を示したものと受け止めた。また、視聴者の方々からも一定の理解が得られるのではないかと考える。大相撲をめぐっては、視聴者からなお厳しい意見があるが、一方で中継を楽しみにされている視聴者の声もある。こうした点も考慮して、総合的に判断した結果、「大相撲秋場所」の中継を従来通り行うことを決定した。なお、今後新たな問題が発生した場合には、相撲協会の対応も見た上で、NHKとして中継中止も含め、毅然とした態度で臨む。「暴力団等排除宣言」にあるように、誰もが相撲観戦を楽しめ、力士が取組に専念できるような環境を整えることが何よりも重要だ。相撲協会は、放駒新理事長を先頭に強いガバナンスを発揮して改革を直ちに実施し、視聴者・相撲ファンの1日も早い信頼回復に全力を挙げてもらいたいと強く要望する。
(全文は2010/9/6発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)