実演家著作隣接権センター(CPRA)は、先月末にオランダ司法長官が、国内における私的複製補償金にかかる政令を発表したと発表。同政令は、今年3月、オランダ実演家団体等がオランダ政府を相手に提起した訴訟の控訴審判決で、政府が私的複製に相当程度利用されているオーディオプレイヤー等を課金対象としていないのは違法とされたことを受けて出されたもの。
同国では来年1月1日以降、新たにパソコン、ラップトップパソコン、外付けハードディスク、ハードディスクレコーダー、MP3機能付スマートフォン/電話、タブレット、オーディオ/ビデオプレイヤーが補償金の対象となる。一方、これまで補償金の対象となっていたアナログ媒体やビデオカセット、MDは、ほとんど使われていない実情を鑑み、外された。他方、今年9月、オランダ最高裁判所は欧州司法裁判所に対して、違法な情報源からの複製が私的複製による例外の範囲に含まれるか否か、もし含まれない場合、補償金の料率を決定する際に違法な情報源からの複製についても考慮に入れるべきか否か等について、先決裁定を求めている。この先決裁定が出されることを考慮して、今回の政令は1年間という短い期間設定となっているが、その後も延長される可能性があるという。
CPRAはまた、「WIPO北京条約採択」を祝い、「『視聴覚的実演に関するWIPO北京条約』作成記念国際シンポジウムー映像における実演家の権利を考えるー」を東京・千代田区の東京會舘で開催した。
国際著作権法及び欧州著作権法の世界的権威であるレヴィンスキー・マックスプランク知的財産法及び競争法研究所上席主任研究員及びゴッツェン・ルーヴァン・カトリック大学名誉教授の講演の後、パネル・ディスカッション「映像における実演家の権利を考える」を行った。