JASRACは、大阪地方裁判所が17日、カラオケ伴奏による歌唱によりJASRACが著作権を管理する音楽作品を長期間にわたり無断利用し、著作権侵害を継続していた飲食店経営者に対して、懲役1年6ヵ月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡したことを明らかにした。
カラオケ伴奏による歌唱の無断許諾利用者に対して、懲役刑の有罪判決が下されたのは全国で初めてのケース。今回大阪市中央区東心斎橋にあった飲食店「サンフレッチェ」において、JASRAC管理楽曲が長期間にわたって無断利用されていたもので、JASRACは昨年9月8日、同経営者を著作権法違反の疑いで大阪府警察南警察署に刑事告訴し、取り調べを経て大阪地方検察庁が今年3月22日、大阪地裁に起訴(公判請求)していた。
JASRACは、同経営者が09年9月2日の仮処分執行後も、執行官が行ったカラオケ機器の封印を3度も破棄して無断利用を継続するなど、極めて悪質な対応をみせていたことから、話合いによる解決はもとより、民事訴訟によっても解決が期待できないと判断。適法に音楽を利用している人達との公平性を維持する観点からも、やむなく刑事告訴を行ったと説明している。
今回の判決で大阪地裁の小野寺明裁判官は、「昨今の知的所有権保護の重要性が叫ばれる中、仮処分執行後も封印を何度も剥がすなど法律を軽視した行為は重い」との量刑理由を述べ、求刑通りの判決を言い渡したという。
(全文は2011/05/20発行の「連合通信レコード速報」に掲載)