第32回藤本賞の各賞が次の通り決定した。授賞式は6月6日(木)11時30分から千代田区大手町のパレスホテルで行われる。
▽藤本賞・稲葉直人(「テルマエ・ロマエ」の製作に対して。授賞理由・日本での実写映画化は不可能と思われた同名コミックを、イタリア・チネチッタ撮影所のオープンセットとCGを組み合わせる手法と、古代ローマ人を日本人俳優に演じさせる破天荒なアイデアで、これまでになかった全く新しいタイプのコメディを開拓し、多くの観客を集めた功績に対し。)
▽藤本賞・特別賞・河村光庸(「かぞくのくに」の製作に対して。授賞理由・北朝鮮への帰国事業で離れ離れに育った兄を持つ、ヤン・ヨンヒ監督自身の体験を下敷きにしたこの作品は、忘れてはならない過酷な政治的現実を、普遍的な家族の絆を描く形で映像化した傑作となったが、この企画を実現させるために、資金面から公開まで、見事なプロデュース・ワークでこの作品を支えた功績に対して。)
▽藤本賞・特別賞・諏訪道彦、浅井認、石山桂一(「名探偵コナン」シリーズの製作に対して。授賞理由・1997年に始まった劇場版「名探偵コナン」シリーズで、常に高いクォリティーを追求し、コミックやテレビアニメとの差別化した映画向きの題材を、1年かけて脚本を練り上げ、工夫を凝らした演出で躍動感あるアニメーションにし、興行としても、最新作まで16作品で多くの観客から支持され続けた功績に対して。)
▽藤本賞・奨励賞・原田眞人、石塚慶生(「わが母の記」の製作に対して。授賞理由・10年前に井上靖の自伝的小説の映画化を着想した原田監督の脚本を、監督自身と石塚プロデューサーは果敢に映画化を実現、古き良き昭和の雰囲気を絶妙に再現させながら、主人公の小説家親子三代の見事な家族ドラマとし、母親と息子という濃密なテーマを描き切った傑作を生み出した功績に対して。)
▽藤本賞・奨励賞・佐藤貴博(「桐島、部活やめるってよ」の製作に対して。授賞理由・高校生の日常を一人称で描いた同名小説を吉田大八監督と共に映画化、登場人物ごとの視点から同じ日を繰り返し見せる構成と、今の高校生の微妙な感情を切り取った斬新な映像作品として完成させ、公開後は、都内では異例のロングラン上映となる等、平成世代の共感を集めた青春映画を作り上げた功績に対して。)