放送倫理・番組向上機構(BPO)の川端和治放送倫理検証委員会委員長は3日、フジテレビの「『めざましテレビ』ココ調・無料サービスの落とし穴」について次のような談話を発表した。
一、放送倫理検証委員会は、2012年6月6日にフジテレビが「めざましテレビ」で放送した「ココ調・無料サービスの落とし穴」について、放送倫理違反があると認めながら審議の対象とはしないと決定した。
一、フジテレビは、放送の1週間後の6月13日に「ココ調」コーナーで電話のやりとりが36分になったのは番組側が会話の時間を延ばすために質問を続けたためであったこと、執拗な勧誘の電話が長く続いたという事実と違う情報を伝えてしまったこと、化粧品会社の担当者の心を傷つけ不快な思いをさせたことをわびる放送をした。そして翌日に化粧品会社の本社を訪れ謝罪をした。
一、委員会はこの事案について放送倫理違反を審議案件として追求し、意見を公表することは適切ではないだろうと考えた。その理由は、何よりも、この事案について「隠し撮り(録音)」という取材方法が不適切であったと断罪することは、その結論だけのひとり歩きにより、例外的手法によってでも隠された真実を暴くという意欲を持った放送人の足かせとして機能してしまうのではないかと、委員会が恐れたことにある。
一、フジテレビは、極めて迅速に内部調査をとげ、的確な謝罪放送をしたうえで、抗議した化粧品会社から宥恕されているうえ、自らの調査によって無料カットモデルの件についても問題があったことを摘出し、美容師からも秘密録音についての事後承諾を得ている。しかもそのうえで、自主的に再発防止のための方策を考え、実行している。
一、もちろんフジテレビについては、2010年8月8日と9月26日に放送された「Mr・サンデー」で、街頭インタビュー対象者の事前仕込みと、雑誌付録バッグ所有の通行人の人数の水増しをしたという問題事案があり、そのとき、自主的、自律的に徹底した改善策を実行したはずなのに、1年足らずでまた今回の事案を引き起こしたことによって、前回の改善策は有効に機能していないことが示されたという問題もある。
一、しかし、迅速で自発的な対応による被害者の宥恕、問題発生の原因分析と対応策の立案、そしてそれを制作現場に「自分のこととして考えましょう」というスローガンで浸透させる努力という点で、「当該局の自主的な取り組み」は十分に行われていると評価するべきであろう。