開催中の第65回カンヌ国際映画祭のクラシック部門で木下恵介監督の生誕100年を記念して上映される「楢山節考」(1958年製作、松竹、監督木下恵介)のデジタル・リマスター版をIMAGICA株式会社が製作作業を行った。
1958年に製作された「楢山節考」は、富士フイルム株式会社が開発したネガボカシ方式のカラーネガフィルムを長編劇映画として初めて使用した作品。
IMAGICA株式会社は、同作品で撮影助手だった喜屋武氏の監修のもと、保管されていたオリジナルネガを用いて画質を修復するデジタル・リマスター作業を行った。自社開発のスキャナー「IMAGICA XE」を用いて、4K解像度でスキャニングを行い、その後、2K解像度に変換した上でさまざまな修復作業を実施。ソフトウェアによる自動処理を活用しながら、細やかな修復作業を行い、全工程を約3ヵ月で終え完成させた。また、喜屋武氏の詳細な指示のもと、発色に限界のあった当時のカラーフィルムの特性を活かして表現した"渋さ"のある世界観をグレーティング作業によって当時意図した通り再現することに成功した。
(全文は2012/5/21発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)