博報堂の戸田裕一社長は1日の2011年度入社式で要旨次のように挨拶した。新入社員は81名。
一、3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、東北・関東地方は甚大な被害を受けた。被災地域では懸命な活動が続けられている。首都圏においても、計画停電など生活と企業活動への影響が今なお大きく残っているが、これから日本は、被災から立ち上がり、復興への道を歩んでいかなければならない。
一、今回の不幸な大災害は、日本が誇りと自信を取り戻すきっかけともなっている。未曾有の危機に際して、冷静に対処し、秩序を守り、必死に他人を救おうと努力する日本人の姿が、世界に驚きと感銘を与えた。これまでに経験したことのない自然の猛威と事故の連鎖に衝撃を受けながら、私たち日本人は意識の深いところで、日本の真価に、あらためて気づいたのだと思う。生存本能を揺さぶられるようなこの経験を核に、これから全く新しい価値観が生まれてくるだろう。そして、その新しい価値観が、復興を後押しするだろう。これを日本の覚醒と呼んでもいいのかもしれない。
一、このような危機に直面したとき、広告会社はその社会的存在意義を考え、地に足のついた行動をしなければならない。それは、広告はまず、企業と生活者を結ぶ生活情報であり、そして生活者、企業、社会を元気にするコミュニケーションである。ということだ。
(全文は2011/04/13発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)