フジテレビの豊田皓社長は1日の2011年度入社式で要旨次のように挨拶した。新入社員は25名(男子16名、女子9名)。
一、先月、東北・関東を襲った未曾有の大地震でいまだに苦しんでいる方々がいる。この災害は、戦後の日本を襲った最大の大惨事だ。この災害にあたっては、被災者を救出する人、治療・介護する人、被災地の修復に当たる人、救援物資を届ける人、危険を顧みず、原発の事故に立ち向かっている人々など、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしている。
一、それでは、みなさんが今日から勤めることになった当社の役割は何だろう。報道機関として、いち早く地震発生を伝え、津波の警告を発すること。地震や津波による惨状を正確に国民に伝えること。同時に、不安を煽ることなく、正確な解説を加え、二次災害を防止するための情報を出し続けること。被災地の現状を克明にリポートし、全国からの支援を促すこと。いろいろな、たくさんの役割がある。それは、被災者のため、国民のため、日本国のため、そして世界のためのものでなければならない。情報は、電気や水道と同じように、被災者はもちろんのこと、全国民にとっての重要なライフラインだ。
一、また、情報の扱い方によっては、例えば北アフリカのチュニジアのように、国家を転覆させることもできるし、またその一方で、救うこともできる。かつて第2次世界大戦の時に、ドイツに占領され、絶望の淵にあったフランスなどヨーロッパの国々の国民たちを勇気づけたのは、イギリスの放送局BBCであったことはみなさんもご存じだと思う。みなさんは、そんな使命と役割を持った会社に入社したのだ。まずはそのことを自覚していただきたいと思う。
(全文は2011/04/06発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)