テレビ朝日の早河洋社長は1日の2011年度入社式で要旨次のように挨拶した。新入社員はアナウンサー部門2名、コンテンツ制作・テレビビジネス部門21名、技術部門7名の合計30名(男子21名、女子9名)。
一、入社3週間前に起きた東日本大震災、4ヶ月足らずで訪れる完全デジタル化という2つの歴史的できごとから、テレビという仕事をしていく上での、基本的な心構えを構築するために、多くのことを学び、考え、想像していただきたいと思っている。
一、私たちテレビ朝日とネットワーク各局は、この大惨事におよそ300人の現地取材班を編成し、長時間の特別番組を不眠不休で制作、放送した。発生から3日、74時間はコマーシャルを入れなかった。テレビは広告宣伝媒体であり、娯楽や文化の提供機関でもあるが、もうひとつ重要な点は報道機関であることだ。つまり、東日本大震災ではこの報道機関としての公共的役割、使命を果たすことに特化し、総力を挙げて取り組んだ。皆さんの志望先はどこであれ、報道機関の一員になったことを、この大震災を契機にじっくり考えてほしい。
一、日本のテレビ放送は、7月24日、デジタルに切り替わり、当社は5チャンネルに生まれ変わる。皆さんは、デジタル1期生であり、なおかつ5チャンネルのテレビ朝日1期生だ。番組、つまりコンテンツへの考え方や感性、価値観も違うはずだ。皆さんの仕事は、大震災報道に象徴されるような報道番組あるいは日常的な意味では、質の高いドラマ、楽しいバラエティ、音楽番組、エキサイティングなスポーツ番組などテレビ本来の特性、機能をより高いレベルにする仕事に加え、インターネットの世界との融合や協業、連携を通じての創作活動、ビジネス展開が世代的に期待されている。このことを強調しておきたいと思う。
(全文は2011/04/04発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)