総務省は2日、パラグアイ共和国が地上デジタルテレビ放送方式の規格として日本方式(ISDB‐T方式)の採用を決定したことを発表した。
海外での日本方式の採用は、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、コスタリカに続いて8番目の国となる。
総務省は、関係省庁、放送事業者、メーカー、研究機関等と連携しつつ、専門家を派遣してのセミナー開催や方式検討担当者を日本に招聘して研修を実施するなど、パラグアイ政府関係者に対し、日本方式の採用に向けた働きかけを継続して行ってきたが、ハイビジョン放送と同時に移動端末向け放送サービス(ワンセグ)が提供可能であること、干渉に強く移動中の車内でも良好に受信ができることなどが評価され、地上デジタルテレビ放送方式として日本方式の採用を決定する旨の大統領令が公布されたもの。
総務省は今後、関係省庁及び関係機関と連携のうえ、パラグアイにおける日本方式の円滑な導入に向けて、技術協力、人材育成等の支援を実施していく予定で、日本方式を採用した国々と連携しつつさらなる海外普及に努めていくとしている。
国際標準となっている地上デジタルテレビジョン放送の規格には、日本方式(ISDB‐T方式)、欧州方式(DVB‐T方式)、米国方式(ATSC方式)の3方式があり、日本方式は他の方式に比べて、電波障害や干渉に強く、移動時でも受信が良好であるといった技術的な優位性があること、また、携帯端末向け放送(ワンセグ)とハイビジョン伝送が1つの送信機で伝送可能であり全体のコストが安くなり経済的であること等の優位性がある。
ブラジルでは2006年6月に日本方式を採用し、2007年12月から放送を開始しており、現在28都市で放送している。ペルーでは2009年4月に日本方式を採用し、2010年3月から放送を開始。アルゼンチンでは2009年8月に日本方式を採用し、2010年4月から放送を開始。チリでは2009年9月に、ベネズエラでは2009年10月に、エクアドルでは2010年3月に、コスタリカでは2010年5月に、それぞれ採用を決定し、早期の放送開始を目指している。
なお、未だ方式決定をしていない南米のボリビア、また、アジアではフィリピンに、アフリカでは南アフリカ共和国等に日本方式の採用を働きかけている。
(全文は2010/6/4発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)