TOKYO FMの冨木田道臣社長は5日のTOKYO FMコミュニケーションズ・グループ年賀式で要旨次のように挨拶した。
一、21世紀に入りちょうど10年が経ち、世界は大きな閉塞感に包まれ、政治的にも経済的にも混沌としている中での2011年の始まりである。日本経済は「失われた20年」とよく言われるが、それからの脱却の過程において、さらに不連続の変化が押し寄せてくるであろうことは予測できるものの、次の時代を読むことが困難な状況下にある。我々の業界もその縮図だが、手をこまねいていては埋没するのみだ。既存メディアは自己改革の徹底と時代の要請にチャレンジしなければならない。いまだかつてない、変わり行く環境を乗り切るにあたっては、視野を拡げ、自分たちが慣れ親しんだ考え方、また、仕事の仕方から脱却するという決意が必要だ。柔軟に、その都度ゼロからのスタートを切れる心意気がなければならない。
一、今年はいよいよ、マルチメディア放送にどのようなスタンスで参画するかを決断する年である。マルチメディア放送への進出は私たちにとって生き残りをかけた最後のチャンスであり、命懸けで、かつ冷静な判断のもと、新たなメディアを創り上げていかなければならない。マルチメディア放送を成功させるには、生活者にとって利便性があり、かつ、心を豊かにするサービスを創り出せるか否かにかかってくるだろう。コンテンツの企画制作能力を飛躍的に高めていかなければならない。そのためには、コンテンツを生み出す雰囲気、仕組みについても新たな体制作りが必要だ。当社が持ち得る資産を全て投入しても成功させる覚悟が必要だ。中途半端では敗れ去っていくのみである。生活者のこころに感動を提供し、共感して選んで頂けるメディアだけが受け入れられ、生き残っていく。
(全文は2011/01/12発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)