テレビ東京の島田昌幸社長は23日の一般紙会見で現況などにつき要旨次のように語った。
一、来年の完全デジタル化に向けて、テレビ東京グループの体制をどう整備していくかということをいろいろ考えてきた、ひとつの答えが出た。テレビ東京グループは何も資産のない会社である。あるとすれば、コンテンツを作る人材がいるということと、その蓄積があるということ。そこで、コンテンツ集団として一番機能しやすい形を考え、地上波とBSとインターネットモバイルで、番組の制作・流通全体をグループ化し、効率的にしていくための形をとることにした。コンテンツ制作集団としての機能が強化されるということが一番大事。さらに、新しいデジタル化の時代を迎え、これまでも試行錯誤してきた、インターネットモバイルとどう連携していくかについて、考えていきたいと思っている。今はまだ第1ステージ。経営統合して、認定放送持株会社を作ったあと、日経CNBCもホールディングスにぶら下げようという話をしており、日経CNBCでの展開ということも先々考えていきたいところだ。総合メディア・コングロマリットとして、これからの厳しい競争時代を勝ち抜いていきたいと願っている。形をつくって魂を入れるまで手を抜けない。この1年間、緊張してやっていかなくてはならないと思っている。
一、認定放送持株会社設立によって、日本経済新聞社が筆頭株主であることは変わらない。認定放送持株会社の上限は33%なので、持株比率が0・034%下がり、拒否権の発動ができなくなるという点でいえば、若干の変化があるが、最大株主であることは変わらない。テレビ東京グループが、日経の持つ情報収集力、分析力、文化、そういうものを利用しながら、映像メディアとして力をつけていくということ。日経も3月から電子版を始めた。動画配信については、当社が協力し、今まで以上に互いに協力しあうことが増えている。認定放送持株会社が、日経・テレビ東京グループ強化に役立たないといけない。
一、昨年度は極めて厳しい1年だった。今年度は、500日を切った完全デジタル化へ向けて、全力を挙げていきたいと思う。また、認定放送持株会社設立の成功が、最大のテーマ。そこへ向けて今、制作の現場は、新しいものをどう作っていくかという実験をしている。新しい会社の立ち上げとともに、当社の新世紀が始まると思っている。
一、去年は視聴率的に厳しい1年だった。4月クールに入っても、その流れをまだ脱し切れず、試行錯誤が依然として続いている。秋の新番組を視野に入れた特番の視聴率が振るわず、全体の視聴率低下の要因になっているようだ。既存の番組も少しずつ厳しい状況になっている。これらをテコ入れしつつ、新しいものをどう育てていくかが、今一番大事なポイントではないかという気がする。
一、3月の営業実績は、タイムが前年同期比マイナス8・9%、スポットはマイナス5・2%、タイム・スポットの合計でマイナス7・7%だった。年明けからスポットが少しずつ動きだし、4月に入ってもその傾向は変わっていない。ただ、当社の場合、昨年度は視聴率的に相当苦労し、総GRP不足なので、その上昇気流に完全には乗り切れていない。タイムは依然として厳しい状況だ。昨年度の予算は相当厳しく設定したので、乗り越えることができたが、厳しい水準をやっと達成したというところ。私としては、この厳しい条件を前提に、このあとの絵を描いていくしかない。そう楽観は許されないと思うし、むしろこれからパイの奪い合いが激しくなるだろうから、これを土台にして自分たちの実力をつけていかなくてはならないと思っている。
(全文は2010/4/28発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)