総務省の情報通信審議会情報通信技術分科会放送システム委員会は17日に1・2GHz帯及び2・3GHz帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件について委員会報告を取りまとめた。
総務省は報告について、平成24年12月18日から25年1月16日まで意見を募集している。
審議の背景は、現在、800MHz帯、マイクロ波帯、42GHz帯及び55GHz帯において番組伝送用の放送事業用無線局が運用されているが、23年9月に改定された周波数再編アクションプランにおいて周波数移行が求められている800MHz帯のものを除くと、いずれも高い周波数を使用しているため、その伝搬特性では、運用が見通し内に限られ、長距離で安定的な中継回線が確保できない。このため、マラソン中継など長距離の移動を伴う中継に利用することは困難な状況である。
見通し外の伝搬路でも使用可能な新たな周波数帯が必要であるが、24年4月に周波数割当計画が変更され1・2GHz帯及び2・3GHz帯が使用可能となったことから、当該周波数帯において必要となる技術的条件を検討するものとしている。
審議にあたっての考え方は、1・2GHz帯及び2・3GHz帯に適用する放送事業用無線システムの技術的条件を定めるにあたっては、現行の800MHz帯FPUの運用性や機能等を踏まえ、周波数を有効活用できるMIMO(Multiple〜InputMultiple〜Output)技術を新たに導入し、高品質なハイビジョン伝送ができるような技術基準とする必要があるとしている。
800MHz帯FPUは、利用する周波数の特性から見通し外での映像伝送が可能であり、移動しながらの番組中継がしやすいという特長がある。このため、緊急対応を含む報道中継や番組取材における素材伝送、スポーツ中継などに幅広く活用されており、移行する1・2GHz帯及び2・3GHz帯においても、現状の性能や運用性を確保し、地理的及び時間的な制約なく全国共通の運用を可能とする方式が求められるとしている。