民放連は6日、グランドプリンスホテル新高輪で「第60回民間放送全国大会」を盛大に開催した。
参加者数は来賓、招待者を含め1200名。午後1時30分からの大会式典では、井上弘会長が挨拶、来賓の野田佳彦内閣総理大臣(齋藤 内閣官房副長官が代読)、樽床伸二総務大臣、松本正之NHK会長が祝辞を述べ、大会宣言を採択した。
井上弘会長の挨拶要旨は次の通り。
一、民放連は、1951年に予備免許を受けた民放ラジオ16社によって発足した。そして翌年の1952年4月に社団法人としてスタートした。現在では会員社の数も204社に増え、還暦を迎えた今年4月には、一般社団法人に衣替えした。
一、それと軌を一にしてテレビ放送も全国でデジタル化した。今年3月31日をもって、被災した岩手・宮城・福島の東北3県のデジタル化が完成し、テレビ放送は新しい時代に入った。
一、こうした中でラジオは、昨年の東日本大震災で、改めて媒体としての存在意義は認識いただいたわけだが、誠に残念ながら広告媒体としての評価には結びついていない。民放連では、ラジオ委員会が先頭に立って、ラジオの媒体価値向上、リスナー層の拡大などに努めるとともに、V〜Low帯を使用したラジオのデジタル化は果たして事業的に可能であるか、そうした面を含めて、幅広く精力的に検討を進めている。今後もラジオについては、将来にわたってラジオがメディアとしての役割を果たしていく道筋を示していきたいと思う。
一、テレビ番組を題材にしてネット上で話題が盛り上がるという現象が多く見られるようになった。直近の例では、SNSオリンピック元年と言われた、今年のロンドンオリンピックでも、そのことは顕著に表れている。今後ますます、インターネットをテレビ番組の充実、そして広告に活かしていくよう、私たちとしても積極的に働きかけていかなければならないと思っている。
一、日本の放送は、受信料を財源とするNHKと、広告収入を主な財源とする民間放送とが競争しながら共存するという、世界にない二元体制で発展してきた。今年10月から、NHKは受信料を値下げした。受信料収入が減少したから
(民1)続かと言って、決して縮こまることなく、放送界全体の発展のために、今後も主導的な役割を積極的に果たしていくことを期待している。
一、スマートテレビや3D、4K、さらにスマートフォンやタブレットといった受信端末が次々と開発され、ますます賑やかになってきた。しかし、どんなに技術が進んでも、放送の本質は番組を送り届けることである。番組こそが私たちの主戦場であり、視聴者と広告主の皆さんに評価していただける要諦だ。報道であれ、娯楽であれ、情報であれ、番組を磨かずして、放送の未来はない。私たちは視聴者の皆さんに、「見て良かった」、「楽しかった」と、そう思っていただける番組を作り続けていく。
一、私たち民間放送には、様々な課題があるが、関係する皆さまのご協力を得て、ひとつずつ解決し、少しずつ着実に前進していきたいと思う。
〈第60回民間放送全国大会宣言〉
ことし3月、東日本大震災で被災された3県のデジタル化が完了し、地上テレビは新時代を迎えた。
民間放送ラジオ・テレビは、ますます多様化する情報社会にあって、基幹メディアとしての枠割と責任を再認識し、視聴者の信頼に応えなければならない。
われわれは、希望あふれる社会の実現に寄与するため、未来に向かって邁進することを誓う。