NHKの松本正之会長は5日の一般紙会見で現況などにつき要旨次のように語った。
一、平成24年度のNHK予算が国会の衆参両院で全会一致で承認され、経営計画の初年度が順調に始まった。全役職員が一丸となって、今年度、そして3か年の経営計画の目標達成に向けて全力を出していきたい。NHKの経営にとって今年度最も大きなことは10月からの受信料の値下げ。経済状況が厳しいことに加え、東日本大震災やテレビのアナログ放送の終了という大きな減収要因がある中での事実上初めての値下げになる。収入の減少を補うために3か年の累計で810億円の増収を図り、経費の徹底した削減に努めなくてはならない。総合力を発揮して受信料収入増加に貢献するための活動を展開していく。
一、東日本大震災の影響で延期していた岩手、宮城、福島でも地上テレビ放送のデジタル化が完了し、群馬、栃木両県では4月1日から県域放送を開始した。視聴者の皆さまのご協力に深く感謝申し上げる。デジタル放送難視聴など残された課題に着実に取り組んでいく。
一、新年度番組はおおむね順調にスタートした。「連続テレビ小説 梅ちゃん先生」は初回視聴率が関東で18・5%などと好調な滑り出し。「NEWS WEB 24」はインターネット時代の新しいニュースにチャレンジしている。新年度は、震災からの復興に放送として何ができるか、備えとして何ができるのかを考え、総合テレビ「明日へ〜支えあおう〜」、Eテレ「東北発☆未来塾」、BS1とNHK WORLD「TOMORROW beyond 3・11」、BSプレミアム「きらり!えん旅」などの定時番組を新設した。NHKスペシャルでも原則毎月震災を様々な角度から取り上げていく。
一、経営計画の達成状況の評価・管理については新たな仕組みを導入した。基本方針を14の指標に分解し、半期ごとに世論調査で視聴者の皆さまのNHKに対する期待度と実現度を調査し、その差を縮めていくことを経営目標としている。ネット調査で四半期毎にフォローできる仕組みを整え、四半期ごとに進捗を、経営委員会、そして視聴者・国民の皆さまにお示しして、さらなる改善を図ることとしている。経営から現場まで一貫して大きな価値観を追って業務が進められるようになる仕組み。受信料を主たる財源とするNHKの経営資源配分もさらに全体最適を考えて実施できるようになると考える。こうした日々の仕事を行っていく上で、最も基本になることは「公共放送の原点に立つ」ということ。放送法に明示されたNHKの目的などをしっかりと踏まえ、それぞれの業務を通じ、視聴者の皆さまの期待に応え、評価を受けていきたいと思う。
一、受信料の値下げという大きな試練を乗り越える努力をすることは、組織と体質を変革し、より強くすると確信している。私も、新たな経営計画が早く軌道に乗るようこれまで以上に努力したい。
(全文は2012/4/11発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)