TBSテレビ事業局の映像事業部の2009年度の推移と2010年度の対応は次の通り。
〈概況〉2009年度はDVD事業、アニメ事業、映画事業を合わせた下期も好調に推移し、通期売上げ117億2千万円となり、利益も最高値だった昨年度比117%の新記録を達成した。今年度は引き続き各事業での売上げ増を目指すとともに、ソフトのマルチユースという観点から新設したメディアビジネス局と連携を図り、利益を向上することを企図する。
〈DVD事業〉2009年度の下期の目玉は「ザ・ベストテン山口百恵」(セル累計4万5000セット)。また、土曜午前0時放送の「エグザイルハウス」の関連商品「EXHSPECIAL EXILE ATSUSHI PREMIUM LIVE SOLO」が累計で13万9000枚と予想を上回る大ヒットで、音楽関係ソフトが成果を出した。「全員集合」の第4弾「ザ・ドリフターズ8時だョ!全員集合最終盤」も4万3500セットと根強い人気。ドラマでは「仁-JIN-」がセル1万セットと期待通りの強さ。また、人気シリーズ「落語研究会」の第4弾「六代目三遊亭圓生」、深夜バラエティ「ホリさまあ〜ず」なども健闘。さらに上期に放送、ソフトを発売した韓国版「花より男子」は出資金額を超える配分金をもたらし、事業として大きく成功した。
2010年度は韓国のドラマ「IRIS」の日本での事業展開に映像事業部が中心となって出資。4月21日から地上波放送を開始し、DVD・BDの予約が好調。このソフトはDVDだけではなく、BS-TBS、TBSチャンネル(CS)、イベント、ライセンス商品など多面的に展開、事業部門全体で高収益を目指す。今後発売となるドラマ・タイトルでは、1月放送の「特上カバチ!」、「ヤマトナデシコ七変化」などの受注が好調。ただし、ビデオソフトの市場は縮小傾向にあり、旧譜の掘り起こしやバラエティ・音楽番組の商品化など引き続き積極的に展開することで利益の確保を狙う。
〈アニメ事業〉2009年4月〜6月放送の「けいおん!」はBD・DVD合わせて45万枚という記録的なセールスとなり、CDその他の関連グッズのライセンス事業も好調。その他のタイトルも堅調に推移し、アニメ事業の利益は昨年比で290%の歴代最高値となった。4月からは火曜深夜に続編の「けいおん!!」がスタート。引き続きソフトのセールスに期待。アニメについてもタイトルごとの勝敗がはっきり出るようになり、全体としてビジネスの環境は厳しくなっている。木曜深夜のレギュラー枠で放送が始まった人気コミックのアニメ化作品「おおきく振りかぶって 夏の大会編」をはじめ、「会長はメイド様!」、「アマガミSS」など多様な作品をラインナップして、ファンの期待に応えつつ、新たなヒットタイトルの開発を目指す。
〈映画事業〉1月22日公開の「オーシャンズ」の興行収入が24億3千万円を超え、2008年公開の「アース」の持つ国内におけるネイチャードキュメンタリー部門の実績を上回り最高記録を達成した。DVD及びBDは7月9日リリースで期待。また、アニメ映画「劇場版Fate/stay night Unlimited Blade Works」は単館系での上映にもかかわらずコア・ファンに支持され興行収入2億7480万円(6月7日時点)と伸び続けている。DVD・BD発売は9月を予定。2009年度は上期のヒット作「ルーキーズ・卒業・」、「クローズ2」、「余命1ヶ月の花嫁」に、これら下期の成果も積み上がり映画事業は歴代最高利益30億2739万円を記録した。12月に発売した「ルーキーズ・卒業・」のセルDVDの出荷は40万枚と驚異的なセールスを記録し、2009年度邦画実写ナンバーワンとなっている。
(全文は2010/6/18発行の「連合通信放送映画速報」に掲載)